TOHO
COLUMN
東邦コラム
2024.12.06
その他
不協和音
今から25年ほど前、父が他界する前に雅楽器「鳳笙」(しょう)を譲り受け、練習を始めました。
最近、演奏する機会があり、久しぶりに譜面を開きました。
笙には17の音管があり、運指表をみて5~6個の音を出すのですが、絶対に押さえ続ける指が「2本」あります。
「七」と「行」
この2つの音だけは、最初から最後まで抑え続けて、ずっと音を出しています。
実は、この2音だけで鳴らすと、何とも不快な「不協和音」になってしまうんです。
しかしながら、この2つの音の他に、3~4音を加えることで、とても「奥行きのある」みやびな響きになる…
とても不思議な笙の音響ですが、これは、われわれ人間をはじめ、世の中のことについて、ひとつの示唆を与えてくれます。
1対1の不協和音の関係であっても、1人2人3人と、周囲から2人に働きかけることで、見事な調和を成すこともできるのではないか…
人間はじめ、森羅万象あらゆるものの調和をとることの大切さ。
新たな価値を創り出すヒントになると思います。